Q&A: 食品衛生法ポジティブリスト説明会
 ~厚生労働省からのポジティブリスト意見募集に関するご説明~

2022年6月10日に配信した食品衛生法ポジティブリスト説明会のQ&A集です。

掲載日:2022年6月23日

No. 質問または意見 回答
1

被膜形成時に化学反応を伴わず、溶剤の揮発により基ポリマーが基材に付着して被膜を形成するタイプのコーティング材料は、別表第1 第1表(新)整理案の物質コード3c-xxx「被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体」に該当しないと考えて間違いないでしょうか。また、このコーティング材料に含まれる基ポリマーは、(新)整理案のどの分類を参照すべきでしょうか。

化学反応を伴わない(化学構造が変化しない)のであれば、第1表(基材)の区分1~4のいずれかの区分になりますが、よく分からないということであれば、具体的な名称等を示して質問していただければ、当方で判断し、追加のモノマーなどがあれば連絡します。

2

塗料や接着剤においては、基ポリマー以外に、その形成を補助する物質(重合開始剤・硬化促進剤・消泡剤・レベリング剤等)や、材料保管期間中の劣化を防止する物質(防腐剤・沈降防止剤・pH調整剤等)が最終製品に残存しますが、これらの物質は塗膜形成後は役目を果たした後となり、また、基ポリマーの化学構造に取り込まれることを目的としていないので、「最終製品に残存することを意図して使用される物質」に該当せず、ポジティブリスト対象外と見なして問題ないでしょうか。また、これらの物質がPL対象外である場合、これらの物質に関する規格基準(ネガティブリストの溶出基準等)が設定される予定はあるのでしょうか。

厚生労働省の添加剤(スライドp.20)の解釈と、事業者の皆様の添加剤の解釈が異なる場合がありますので、具体的な物質、使用方法、効能などを記載して質問いただければ、回答致します。PL対象外の物質の規格基準については、PL作成を優先しているため、その後に課題を整理することになります。

3

本ポジティブリスト制度への対応は、数年前から着手し、サプライヤーの協力を得なければならない事例や、(成分開示に伴う)秘密保持契約の締結、海外原料メーカーへの事情説明など、非常に手間を掛けてここまで対応してきました。昨年末の段階で何とか収載手続きを完了した経緯がある中で、今回の「新整理案」のリストの内容は大きく内容が変わっている印象があります。ゼロから仕切り直すのであれば、改めて意図を汲み取って申請し直す必要がある為、相応の経緯の説明や長大な申請期間を設けて頂きたいと思います(意見)。

12月24日のリストに収載されている物質について、基本的には今回の新整理案に反映しています。消除のリストに移行した物質も使えなくなるわけではなく、今まで通り使用できます。上流の企業が、食品に接触する部位に使用してほしくないため、協力を得られない場合は、代替物質を探さなくてはならなくなります。そういうことを考慮しますと、準備期間を確保するためにリストは早めに整理したいと考えています。

4

昨年末までに収載手続きを終えたことから、塗料ユーザーからの問い合わせに対し【収載済み】という報告をしてきましたが、今回の「新整理案」による変更で、仮に収載できなかった物質が出てきた場合、結果的に塗料ユーザーに虚偽報告をしてしまったことになってしまいます。そういった塗料ユーザー・成形品ユーザー(関係各業界団体)に対しても、このタイミングで大きく方向性が変わった旨について、徹底した情報共有をお願いします(意見)。

昨年12月、本年3月の器具容器包装部会での議論の内容など過程を公表しながら進めてきました。また、今後、意見募集している再整理リストの内容を告示する場合には、施行通知を食品事業者や関連団体に周知する予定です。なお、周知することが必要な団体等がある場合は、連絡いただきたい。

5

添加剤の定義についてお尋ねします。同一CAS番号の同一化学物質であっても分子量1000以下と1000以上の原材料がある場合、(新)整理リストで、基材、添加剤の一方にしか収載されていない物質については、追加収載が必要と考えていますが、運用において煩雑になってしまうことを危惧しています(意見)。

設計が分子量1000以上であれば、基材ということになります。もし、分子量が1000未満であるとか、添加剤で使用している場合は、意見を提出していただいた上で判断しますが、設計者が分子量をどの値で設計しているかで見極めます。

6

PL制度の対象外となる塗布剤を、液体状または粉体状の物質に限定するのはなぜでしょうか。帯電防止目的で塗布した物質が被膜を形成する場合はPL対象でしょうか。

塗布したものは容易に剥がれることが想定され、リスクを考えると合成樹脂とは違うものとなります。一方、被膜を形成した場合は、その被膜が合成樹脂の容器面と同じ機能を持ちますので、PLの対象になります。

7

「PL制度の対象外となる物質」はPL未収載となりますが、何か別のリストが作成されるのでしょうか?

12月24日のリストから消除されたものに対しては、消除リストを作成していますが、告示後は対象外の物質のリストに意味が変わります。対象外のリストは作成する予定はありません。

8

添加剤の閾値についてお尋ねします。添加剤の閾値は、基材当たりの含有量と認識していますが、ホットメルト接着剤の一般的な処方である、区分2の基材(配合率40%)/閾値50%の 石油樹脂添加剤(配合率40%)/閾値50%のワックス(配合率20%)では、基材当たりの閾値を満たさない可能性があります。また基材含有率がさらに低いホットメルト接着剤では、PL対象として不適合となることが危惧されます。添加剤の閾値としては、総量当たりの含有率としたり、閾値を設定しない等が現実的ではないかと考えます(意見)。

現在作業しているポジティブリストは、2020年6月1日以前に使用実績のある合成樹脂に該当するものをリスト化しています。今のリストでどういう部分が当てはまらない、具体的にどういう物質をどういう比率で使用している、というご意見をいただければ、リスト収載の方向で検討致します。

9

新整理案第1表の材質区分5の物質(C-XXXX)について、定義が“被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体”となっていますが、反応を伴わないラッカーやホットメルト接着剤などは「PL収載対象外の物質」になるのでしょうか。被膜形成時に化学反応は必須なのでしょうか。また“化学反応を伴う”とは具体的にどういう意味でしょうか。

ホットメルト接着剤については、これまでも合成樹脂で扱っているということを踏まえ、ポジティブリストの対象で整理を検討しています。ホットメルト接着剤は、化学反応を伴わないので、区分1~4に該当します。なお、化学反応とは、化学的な反応によって化学的な構造が変化することを言い、溶剤が揮発することにより被膜が形成するような場合は、化学構造が変化しないので、区分1~4になります。

10

区分5は塗膜用途と限定されていますが、被膜は形成するものの材料同士を貼り合わせる接着剤は、区分5の適用をしてもよいのでしょうか。

区分5は化学反応を伴い、最終的な物質が分からないものを対象としています。接着剤でも化学反応するものは区分5を適用してください。

11

区分5の被膜成形時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体で使用される「添加剤」のポジティブリスト制度における対象範囲について、被膜形成後に機能する添加剤(例えば密着性付与剤、可塑剤など)が、ポジティブリスト制度における対象範囲と考えますが、この解釈で良いでしょうか?

質問の解釈で問題ないと思われますが、厚生労働省の添加剤の解釈と、事業者の皆様の添加剤の解釈が異なる可能性があります。心配な場合は、具体的な物質、使用方法、その物質の機能などを質問として提出して下さい。

12

区分5の被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体における、新規の重合体のPL適合性について、施行日前までの使用実績が無い重合体であっても、使用している物質(モノマー)の98%以上がC-xxxxに収載されている物質であれば、告示改正後にはPL適合と判断できると考えますが、この解釈で良いでしょうか?

左記の質問の98%以上ではなく、98%超が収載されている物質で構成され、なおかつ、告示が施行された日以降であれば、この考え方は有効です。

13

留保リストに載っている物質について、意見提出のなかった物質は必要に応じ削除されるとありますが、削除された物質は、「PL収載対象外の物質」、「PL未収載物質」のどちらになるのでしょうか?

留保リストから削除された物質は、「PL未収載の物質」になり、合成樹脂の添加剤として使用できなくなりますので、使用している場合は、意見提出をお願い致します。

14

厚生労働省に寄せられた主な質問に関する説明(2021年8月18日 更新)のQ&A5では、合成樹脂以外の材質が主成分の場合はPL対象外となっています。今回、同様の解釈で合成樹脂以外の物質が50%を超える場合は対象外となるのでしょうか。ホットメルト接着剤は、一般に基材/タッキファイヤー/ワックスの配合品ですが、化学修飾された天然物であるタッキファイヤー(PLの収載範囲外となる物質)を配合率50%以上含むホットメルト接着剤は、接着剤自体がPL対象外と考えてよいのでしょうか。また、合成樹脂以外の物質(添加剤)が50%を超えるものは、食品衛生法上、どのような解釈のものになるのでしょうか?

新しい整理案では、添加剤は50%という上限が無くなっていますので、50%を超える場合は意見提出をしてください。また、添加剤を50%を超えて含有するものが合成樹脂に該当するかどうかについては、具体的な内容を示していただければ判断致します。

15

PLの収載範囲外となる物質について、食品に接触しない部分に使用された物質であって、人の健康を損なうおそれのない量を超えて溶出又は浸出するおそれがない物質とは、具体的にどういう部位のどういうものでしょうか。溶出又は浸出の測定方法はどんなものでしょうか。

左記の規定は、ラミネートを想定して定められたもので、表層は食品に接触するのでPLの対象ですが、2層目、3層目に適用するのは過剰規制である、という考えからきています。ただし、2層目などから添加剤が表層を通過して食品に溶出した場合は管理が必要となりますので、それが0.01mg/Kg食品と定められています。溶出・浸出の測定方法は、食品安全委員会が作成したlink食品健康影響評価指針があり、そこに試験方法が定められています。これに合わせたlink通知が厚生労働省から発出されています。

16

第2表の(旧)整理案(移動先情報併記版)には、行先が第1表の(新)整理案のものが見当たりませんが、第1表に収載される可能性のあるものは、留保物質に振り分けられているのでしょうか。

ご質問の通り、第1表に収載される可能性が有るものは、申請者によって、第1表と第2表へ収載と別れる可能性があるため、留保リストに移動しています。

17

第1表において必須成分と組み合わせる任意の物質について、任意の物質のみで構成される部分の分子量を1000未満としたのはなぜでしょうか。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤で使用されるポリアミンでは分子量1000以上の物質については、使用できないということになるのでしょうか。

分子量が1000以上になる場合は、その部分はブロック重合体のブロックの部分に該当する、と整理しています。分子量が1000以上となる部分の構成が、他のポリマーの分類で読める場合は、そのポリマーとの混合ということになります。また、そのポリマーの分類で収載モノマーが不足している、ということであれば、その旨意見提出して下さい。その他にご不明なところが有れば、具体的な物質情報を挙げて質問して下さい。

18

「PL制度の対象外となる物質」において、原材料に含まれる物質が化学的に変化して生成した物質とは、具体的にどういうものでしょうか。この場合の原材料とは何でしょうか。

ポリマー合成の際のオリゴマーなど、非意図的なものなどが該当します。

19

着色料に適用される別規格とは何でしょうか?

第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項5号の規定を指します。

20

化学反応を伴わない物質で区分1~4のどこにも該当しないものがあります。例えば、天然物のロジンは「PL収載対象外の物質」となりましたが、石油樹脂は対象です。基ポリマーに該当しない石油樹脂は、50%ルールが適用されると、どこに該当することになるのでしょうか。

この質問につきましても、具体例を示していただければ、適切な回答ができると思いますので、質問をご提出ください。

21

意見提出の方法について質問します。意見提出すべき物質(基材、添加剤)、質問事項、が複数ある場合、それぞれ該当する1つのExcelファイルの中で行を追加して複数物質を列記するのか、もしくは、1物質毎に1つのExcelファイルを作成しなければならないか、どちらでしょうか?

基材は一つのエクセルファイル、添加剤は一つのエクセルファイルに作成ください。また、基材と添加剤の意見を提出する際は、それぞれを別のメールとして分けて送信してください。

22

第2表の添加剤について、物質名が記載されていれば、CAS登録番号が不一致であってもPL収載と考えてよいのでしょうか。

告示は物質名で規定しますので、物質名が範囲に適合する場合は、その物質での管理となります。なお、CAS番号は参考情報ですので、CAS番号で適合性を判断する場合は、事業者の責任でお願いします。

23

はみ出した接着剤の取り扱いについてお尋ねします。食品に接触しない部位に使用される接着剤が、材料を貼り合わせる際に、意図せず食品接触部分へはみ出す可能性があります。意図的に食品に接触させているわけではないため、PLの対象外と考えてよいのでしょうか。

ポジティブリストのQ&Aの問15に多層フィルムのことが出ております。多層フィルムを巻いた時に、2層目が少し露出する場合があり、その場合は意図的に食品に接触させるものではないと考えられ、食品接触面としてみなさないとして扱います。はみ出すのがどれくらいの面積か分かりませんが、多層フィルムの端面位の領域であれば、Q&Aの問15と同様に扱えると考えます。また、法第18条第3項のただし書きの規定のとおり、食品に接触面において加工されている場合に該当するか否かについても判断が必要です。

24

材質区分5に、塗料で使われるポリアミン系硬化剤の成分(分子量1000未満)の追加について意見提出することを考えています。この場合、基材の意見提出様式に記載が必要な項目のうち、重合体の分類はaを、分類は任意の物質を選択して提出すれば宜しいでしょうか。

区分5につきましては、必須モノマー、任意の物質の区別はなく、ポリマーの種類の分類もないので、その部分の記載は不要です。

25

反応を伴う塗膜に関して使用される基材の川上原料や海外原料に対しては、調査・対応要請に時間がかかります。意見提出の締め切り延長はないのでしょうか。

海外の人も分かるように、英語版のHPも作成し、整理案には英語で併記しています。また、12月24日のリストから観ていけば、そんなに確認に時間はかからないと思いますので、今のところ7月15日の締切を延長することは考えていません。

26

原材料メーカーから、区分1~4としての収載・意見提出の確認はできるが、反応を伴う塗膜の原材料として使用されることを想定していないので、意見提出の要請には応じられないと回答あった場合、どう対応したらよいでしょうか。

原料メーカーが想定していない、ということであれば、その責任は問えないと考えます。原材料メーカーと秘密保持契約を締結した上で、原材料の詳細を開示してもらい、塗料メーカーの責任で申請することはできると思います。

27

食品衛生法が改正されたときに、使用可能食品・温度や食品非接触層に使用される特殊ケースに対する考え方が示されましたが、今後この考え方は変わるのでしょうか。

現在、整理しているリストについては、改正案の作成、審議会での審議を経て告示されます。実際の運用に関しては、様々な実態を反映したものになりますが、その過程において、考え方は変わる可能性も有ります。

28

今回のリストでは、無機物がリスト対象外になっています。食品の容器包装における無機物は、どういう扱いのものと考えれば良いのでしょうか。

無機物については、材質別規格などの従前からあるものを遵守していただくことになります。

29

恐れのない量の考え方に関して教えてください。恐れのない量の試験方法は決まっておらず、また10ppb以下という分析は、かなり難しく、場合によっては測定不可と認識しています。恐れのない量に関し、どのように対応すればよろしいでしょうか?

Q15を参照ください。

30

お盆に塗装する塗料で、基本的に食品に接触することは想定していないが、お盆の上にこぼれた食品を食べることがあります。そういう場合は、お盆に塗装する塗料も PL対象になるのでしょうか。

通常の使用で食品が接触することは想定していない場合であっても、食品に接触しても大丈夫なものを塗料として使用してください、と要求される場合もあると思います。使用する側又は使用する場面の想定をした上で、使用する塗料を選択すればよいと思います。

31

原材料製造事業者からの情報開示は努力義務になっているので、開示がされない場合が多くあります。そのような原料は使用できないですが、どのように対処すればよいでしょうか。

今後も使用するためには、物質情報をリストに載せることが必要であり、原材料メーカーから情報開示してもらうのが無理な場合、原材料メーカーから厚生労働省へ意見提出してもらうよう、原材料メーカーに対して、働きかけが必要だと思います。

32

原材料のうち、一つでも未収載の物質が有れば食品衛生法に適合しないと思いますが、長年使用してきている混合物として、リスト収載は出来ないのでしょうか。

先の質問と同様、原材料メーカーが情報開示してくれないのであれば、原材料メーカーが厚生労働省に意見提出する様、働きかけが必要です。また、モノマーの98%超が収載されていれば収載と判断できますので、併せて対応を考えて下さい。

33

ポジティブリストが完成した後、PLに未収載のものがPL対象外のものであるかどうかは、どのように確認すれば良いのですか。

Q7を参照ください。

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