～第8回(2005年）審査結果～

＝総　　評＝

　環境調和性に重点をおきながら、個を表現することについて、バランスよく創られた作品が多く、感心した。中にはコンセプトと色が乖離している作品も多々見られた。コンセプトがあって色がでてくる。その点が今後の課題となろう。　（審査委員　赤木　重文）

　新築はかたちと色の融合、改修は色で勝負。大規模になるほど無難にまとめざる得ないことも確かであるが、その中でいかにして新しさを出していくかを期待したい。今年も教育施設の作品がいくつか寄せられたが、なかなか良いものが少ない。アクセントカラーの用い方に工夫が欲しい。また、環境にふさわしい色の検討の中で、日本の伝統的な色やかたちの提案　にも努力いただきたい。　（審査委員　日原　もとこ）

　今年の応募作品にはこれまでと変わった傾向を示す作品が出てきた。これまでのウォーム、ベーシックのようなカラーデザインの常套手段を脱し、１色がもつ力、１色が語りかけるものがみられた点は素晴らしい。深層の意味を１色で表現する。色の持つ深みを表現する作品に今後も出会える楽しみが増えた。　（審査委員　伊東　敏雄）

　ペインティングはかくも幅広く社会に貢献できるものなのか、と改めて驚かされた。ただ単に塗装で目につきやすくするという一般常識を覆して、表面やそこにある色彩がいかに大事か、ということを今後も社会に伝えていきたい。　（審査委員長　泉　眞也）

作品名　Ｓｔａ－ｂｌｄ　スタビル　（新築）

佐野　契（株式会社佐野契建築設計事務所）
　長根　雅一（株式会社佐野契建築設計事務所）
　松田　瑞季（株式会社佐野契建築設計事務所）
　真嶋　慶信（株式会社佐野契建築設計事務所）

講評

鋼板製の躯体に塗装した黄緑色は濃くて渋い。
色合い自体に、ニュアンスと表現力を持ち、
建物のフォルムとともにインパクトが強く、
街中のアトラクターとしての存在感を示している。

内装の青紫色との補色対比で際立たせている点もにくい。

　斉藤　香津子（日本ペイント販売株式会社）

　所在地　北海道　札幌市
　施　工　佐藤興業株式会社　北海道支店

　講評

地味なブラウンを使いながら、周辺塗装色を変えることにより、くすんだ既存のタイル色を生き生きとよみがえらせた。北国の建物を暖かみの感じるブラウンに見事に再生させた秀作。

調査、コンセプトつくりから色彩設計まで、丹念な検討ぶりがうかがえる。

（↑改修前）

　南　章子　（筑波大学大学院）
　野田　直希（筑波大学大学院）
　高橋　清紀（筑波大学大学院）
　稲葉　剛　（筑波大学大学院）

所在地　茨城県　つくば市
施　工　株式会社神山

筑波大学リニューアルプロジェクト

講評

塗装前の雰囲気が一新され、地に対して大きく描いた淡い葉の図は抑制された明るい上品さを醸し出している。

建物を使う学生達も参画した塗り替えは画期的で、法人化された大学のよいモデルケースになろう。

作品名　ＮｏａＨ　ノア　（新築）

　山岡　嘉彌　（株式会社山岡嘉彌デザイン事務所）

所在地　宮城県　仙台市

施　工　建装工業株式会社　仙台支店

講評

外観の調和と色彩表現のバランスがよい。

住宅外装に使われた濃赤は深みがある。 相当強い色を使えるようになってきた。

作品名　新日本石油化学株式会社
　　　　　　川崎事業所　万年塀　　（改修）

田邉　学（株式会社カラープランニングセンター）

所在地　神奈川県　川崎市
施　工　柏原塗建工業株式会社　関東支社

（改修前）

作品名　ｓａｃｏｓ　ｍｏｔｈｅｒ　ｆａｃｔｏｒｙ
　　　　　サコスマザーファクトリー　（改修）

　二瓶　渉（アーキ　エア）
　古谷　清寿（アーキ　エア）　

所在地　千葉県　浦安市
施　工　赤石塗装

（改修前）

作品名　中部国際空港　セントレア　
　　　　　　旅客ターミナルビル（新築）

　宮崎　桂（株式会社ケイエムディー）
　日建、梓、ＨＯＫ、アラップ設計監理共同企業体　

所在地　愛知県　常滑市

施　工　株式会社飯味塗装工業所
　　　　　株式会社清水塗工店
　　　　　株式会社日比野塗装店

作品名　ＡＭＵＳＥＲ　アミュゼ　（新築）

　鞍谷　万樹（鞍谷万樹設計事務所）

所在地　東京都　中央区
施　工　株式会社チュンバ

経済産業省　国土交通省　東京商工会議所　
日本経済新聞社　日刊工業新聞社　フジサンケイビジネスアイ　化学工業日報社

日本建築仕上学会　　日本色彩学会　　景観材料推進協議会
社団法人東京建築士会　社団法人大阪府建築士会　社団法人愛知建築士会