このページは平成27年当時の状況の説明です。
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塗料中鉛の廃絶に関する現状と今後の方針について

平成27年12月10日
(一社)日本塗料工業会 事務局

国際的な2020年までの塗料中鉛の廃絶を目指した取組の議論の高まりを踏まえ、当工業会として、平成8年(1996年)の「塗料の鉛リスクリダクションに関わる(社)日本塗料工業会宣言」を改定し、更なる削減に向けて徹底強化を図ることとします。

1.塗料中鉛廃絶に関する日塗工宣言の改定について

(一社)日本塗料工業会は、塗料中鉛に関して1989~94年頃のOECDの動向、及び幼児・妊婦・飲料水・食品などで直接接触する恐れのある用途への使用等について、社会的悪影響の問題から1996年(平成8年)7月の理事会決議によって「塗料の鉛リスクリダクションに関わる(社)日本塗料工業会宣言」を公表し、順次削減を行って参りました。
この活動の結果、直接人の健康に悪影響を及ぼす用途での使用はほとんどなくなっていますが、その他の分野でも、当工業会によるJIS品目の廃止促進及び各社での代替物質への切り替えによる自主的な削減努力により、前述のOECDで論議されたベース年(1992年度)と比べて大幅な削減がなされております。

当工業会では、国際的な2020年までの塗料中鉛廃絶の動きが高まる中、今後残されている課題の解決に向けて、以下のとおり宣言を改定し、更なる徹底強化を図ることとしました。

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鉛含有塗料の廃止に向けての(一社)日本塗料工業会宣言の改定

平成27年12月10日
一般社団法人日本塗料工業会

(一社)日本塗料工業会は、1996年7月に、「塗料の鉛リスクリダクションに関わる(社)日本塗料工業会宣言」を発表し、その活動を行って参りましたが、2020年までの国際的な塗料中鉛廃絶の動きが高まる中、業界の自主的な取組として、以下のとおり当該宣言を改定し、更なる徹底強化を図ることとします。

1.内外装など一般用途分野

  1. (1) 鉛含有塗料のJISに関して全ての品目の廃止手続きを行うとともに、公共建築・改修工事標準仕様書(国土交通省監修)等からの使用義務を取り除く手続きを行う。このことによって、公共的な使用が終了することとなる。
  2. (2) 上記(1)の公共用及びそれ以外の民生用を含めた鉛含有塗料の廃止に向けて、会員各社はその重要性を認識しつつ、需要者との話し合いによる理解を深める努力を行い、その準備が整備された会社から、各社自らが「遅くとも2018年度末までに鉛含有塗料の生産及び販売を終了する(実績又は計画)。」旨の宣言・公表を行う。
  3. (3) 会員外の各社においても、関係先に情報提供しつつ、廃止への理解が得られるよう、奨励・促進するための最大限の努力を払う。

2.特殊用途分野

路面標示分野など、生命や国の安全確保の面でやむを得なく必要な分野においては、需要者の動向によって廃絶時期の見通しが立てにくいため、当該用途分野を限定・特定化させ、国(経済産業省をはじめ関係省庁)と相談・協議しつつ、2020年までに廃絶を実現するべく必要な措置をとる。

 

2.鉛含有塗料に関するお知らせとお願い

PDF鉛含有塗料に関するお知らせとお願い
「塗料中鉛廃絶に関する日塗工宣言の改定」についての説明用パンフレットです。
お客様へのご説明等にご活用下さい。

3.JIS規格さび止め塗料の現状について

JIS規格さび止め塗料から鉛を廃絶すべく、JIS K 5629(鉛酸カルシウムさび止めペイント)を代替規格(JPMS28)に移行します。

鉛・クロムさび止めペイントの統合・改正
JIS番号 名 称 改正内容 特 徴 改正・
制定日
JIS K5551 構造物用
さび止めペイント
変性エポキシ系追加
変性ポリウレタン系追加
統合JIS
(高防錆性)
H20.1.20
JIS K5621 一般用
さび止めペイント
水系追加 統合JIS
(VOC対策)
H20.1.20
JIS K5674 鉛・クロムフリー
さび止めペイント
水系追加 統合JIS
(VOC対策)
H20.1.20
JPMS 28 一液形
変性エポキシ樹脂
さび止めペイント
適用範囲の条文改訂 亜鉛めっき用
(鉛フリー)
(制)H27.7.9
(改)H28.4.25

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これまでの関連JIS
JIS番号 名 称 内 容 今 後 廃止日
JIS K5622 鉛丹さび止めペイント 鉛を多量含む 廃止→ JIS K5674へ H22.5.20
JIS K5624 塩基性クロム酸鉛
さび止めペイント
鉛・クロムを多量含む 廃止→ JIS K5674へ H22.5.20
JIS K5627 ジンククロメート
さび止めペイント
鉛・クロムを多量含む 廃止→ JIS K5674へ H22.5.20
JIS K5628 鉛丹ジンククロメート
さび止めペイント
鉛・クロムを多量含む 廃止→ JIS K5674へ H22.5.20
JIS K5623 亜酸化鉛さび止めペイント 鉛を多量含む 廃止→ JIS K5674へ H26.4.21
JIS K5625 シアナミド鉛さび止めペイント 鉛を多量含む 廃止→ JIS K5674へ H26.4.21
JIS K5629 鉛酸カルシウム
さび止めペイント
鉛を多量含む 廃止→ JPMS 28へ H28.12.20

4.参考:塗料中鉛廃絶に関する日塗工宣言~平成8年7月

(社)日本塗料工業会は、平成8年7月、理事会承認に基づき以下の宣言を公表しました。

塗料の鉛リスクリダクションに関わる(社)日本塗料工業会宣言

(社〉日本塗料工業会は、安全・環境を配慮して塗料のリスクリダクションを進めることを宣言する。

  • 会員会社は各社の責任において技術面、経済面ならびに社会面を考慮して鉛のリスクリダクションを順次、自主的に進める。
  • とくに鉛のリスクが予想される幼児・妊婦が直接触れる恐れがある用途に使用される場合、または飲料水・食品に接する恐れがある場合は鉛を使用しない。
  • 塗料の使用・廃棄に関わる鉛のリスクリダクションの情報を使用者に提供する。