社団法人 日本塗料工業会 Japan Paint Manufacturers Association

色彩の創造―携帯電話のボディカラーはこうして決まる





未来塗料への思い

 携帯電話の市場特性に改めて注目してみよう。まずは商品開発のスピードが早いことだ。年に2回、春と秋に新機種が各社から多数リリースされる。新商品競争が激しいのは、技術革新の速いIT関連分野の特徴ではあるが、携帯電話はデザインが10年以上も進化し続けている極めて稀な市場である。
 「塗料メーカーにとって、僅か6カ月後には新商品を店頭に並べなければならい、このテンポはかなりのプレッシャーです。携帯電話はデザイン面でどんどん進化している市場です。カラートレンドを素早くキャッチして、短期間で市場に投入しなければなりません」。
 普段からの努力で頭の”引き出し“をアイデアやヒントでいっぱいにしておけば、いざという時に困らない。そうした意味で、毎年一度実施しているカラープレゼンテーションの果たす役割は大きく、色彩創造力のレベルアップに大きく貢献している。
 10年で10倍という驚異的な成長を遂げた携帯市場。飽和状態に近づいたとの指摘もあるが、人口当たりの普及率はまだまだ。通信速度の向上など、次なる技術革新が控えており、需要の伸びは十分期待できる。番号ポータビリティ制がスタートした際に、一気に14機種を投入した会社があったが、新製品ラッシュはまだまだ当分続くだろう。
 現在の市場ニーズは、高機能・高価格モデルとシンプル機能・低価格モデルの二つの方向に拡大している。話題のワンセグやインターネット、GPS、音楽プレーヤー、クレジット機能など、さまざまな機能を付加した高機能・多機能タイプに人気が集まる一方で、子供や高齢者を対象に機能を絞り込んだ選択機能タイプも着実に販売を伸ばしている。塗料メーカーとしては、次々と現れる新しいニーズに対応できるよう、新しい塗料を積極的に開発していく必要がある。
 新しい塗料技術では、新触感塗料や水系塗料の開発が進められている。塗料に顔料を混ぜる技術では、均一性を自在にコントロールできる”ナノ分散“が最先端の研究分野。いわゆるナノテクノロジーの応用技術である。材料技術では、輝度をさらに高めた超高輝度アルミと2色の色相を持ったパールの開発が注目すべきところ。
 「2色の色相を持ったパールは、見る角度によって異った色に発色する材料で、時として赤に見えたり、グリーンに見えたりするおしゃれな携帯が出来るようになります。技術的には、新規材料と重ね塗りの応用技術です」。
 「未来塗料としてもう一つ、開発を進めているのが新触感塗料です。わかりやすく言うと、本革のような触感に仕上がる塗料ですね。元々のコンセプトは”五感で感じる塗料“というもので、人間の五感、視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚で感じてもらえる塗料が最終目標です。条件によって香りが放出される塗料、擦ると心地よい音がする塗料が実用化できれば、塗料の活躍分野がもっと広がります。塗料なら他の素材より加工しやすく、コストも抑えられるでしょう。当社には日本の伝統工芸の一つである漆の技術が伝承されていて、これもいつか応用してみたいですね」。
 塗料の一番の使命は、美しく見せることにあり、その素晴らしさは、ものの価値感を高めることにある。塗装される前の製品と塗装された後の製品を比べれば、そのことは明らかだろう。
 購入者のアンケートを見ると「色が気に入ったから」「形がスマートだから」といった理由をあげる人が増えている。現代人にとって携帯電話はなくてはならない存在だ。いつも身につけるものなら、ファッション性で選ぶという方が、むしろ自然な流れかもしれない。


取材/写真提供:カシュー株式会社 Painting Nowトップに戻る


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