社団法人 日本塗料工業会 Japan Paint Manufacturers Association

色彩の創造―携帯電話のボディカラーはこうして決まる





携帯電話の塗料技術と塗装技術

 鮮やかで深みのある赤、クールでシャープな輝きのシルバー、しっとりと落ち着いた印象の紫、重厚な雰囲気のチャコール、存在感のあるゴールド・・・。
 こうした美しい外観は、最新の塗料と多層コーティング塗装という組み合わせによって実現されている。
 さまざまな特徴を持った塗料を高度な技術で塗り重ねることで、色の深みや透明感、高級感を引き出している。
 「塗装は2コートまたは3コートです。下の層は着色のためのカラーコートで、質感を上げるため二度塗りするケースが多くなっています。
 最上層は塗膜保護のためのクリアコートで、高い塗膜硬度が得られるUV塗料が使われています。携帯電話は、ポケットやバッグの中に入れて持ち運ばれたり、テーブルや家具の上に置かれたり、他のものと接触する機会が多く、塗装面に傷が付きやすいからです」。
 紫外線を照射して硬化させるUV塗装は、高い塗膜硬度(2〜6H)が得られるため、耐摩耗性(傷に強い)に優れているほか、ウレタン・ポリエステル系に比べて透明感や光沢性が豊かで、耐薬品性にも優れるなど多くのメリットがある。携帯電話では、高い質感が得られ、しかもプラスチックよりも硬くできることが大きなメリット。その他にも、塗膜硬化が早いため生産ラインを短くできるといった二次的メリットも備えている。
 カラーバリエーションは各社とも多様で、新色が続々登場しており、ソリッド系では透明感を強調したもの、メタリック系(アルミ、パール)では高級感を追求したものに人気が集まっている。色が決まる段階では、店頭に並んだときにお互いが引き立つような組み合わせ色となるよう、細かな点にも配慮が払われている。
 「携帯電話は店頭で比べながら選ぶ商品だからです。新しい色は顔料(アルミ・パール)や添加剤、ベースとなる塗料そのものを工夫すること、および塗装方式を変えることで生まれます。輝度を高めるため、アルミの開発が進んでいます。現在よく使われている高輝度アルミは、従来のアルミより薄く、表面も平滑にできており、強い輝きが得られます。ベース塗料も、こうしたアルミの特性を活かす性状のものとなっています」。


アンティークシルバーに見られる
落ち着きのある、奥ゆかしい金属感
2コート 下塗り:メタリックシルバー
上塗り:UV

歴史の趣きを感じさせる
高貴で味わい深いアンティークゴールド
3コート 下塗り:メタリックシルバー
中塗り:パールカラークリヤー
上塗り:UV

鮮やかに輝くオレンジ、あたたかい光の中に
つつみこまれていくような・・・
3コート 下塗り:メタリックカラー
中塗り:偏光パールクリヤー
上塗り:UV


 塗装ラインは、全長が約200m。成形素材は除塵された後、塗装と乾燥が繰り返され、最後にUV照射による塗膜硬化が行われて塗装品となる。塗装ブース内では、回転しながら移動していく成形素材に5〜6本のスプレーガンで連続して塗装する。対象を回転させること、ガンの角度を工夫することで、小さな製品でも均一な膜厚をつくり出すことができる。
 携帯電話に使われる塗料は、耐摩耗性以外にもさまざまな物性が求められる。自動車の中に長時間放置されることも考えられるから、耐熱・耐湿性も重要だ。素材とアンダーコートの密着性、力が加えられた時(変形した時)のトップコートの追従性、文字や記号・ロゴの印刷用インクとの馴染みの良さも必須条件。また、最近主流の折り畳みタイプ(開閉・回転式)では、擦れ音対策も欠かせない課題である。




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