社団法人 日本塗料工業会 Japan Paint Manufacturers Association
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わが国塗料工業の中期展望
−中期ビジョン及びその課題と提言−
A4版・150ページ
発行:平成11年12月
会員価格:2,000円
一般価格:5,000円

◆◇◆塗料工業は今変革に挑戦すべき時◆◇◆

◆限界が訪れている副資材提供産業

これまでのわが国塗料工業は、近代化・工業立国の国の施策に沿って、主として工業製品製造業、建築・建設業、公共投資需要に依存して発展してきた。この過程にあって塗料工業は副資材提供産業として重要な役割を果たしてきた。しかし物的成熟社会を迎え、またグローバル化の進展により顧客の海外生産への移転が進行したことから、今後これら新規需要の大きな伸びは期待できなくなってきている。2005年までの需要予測結果では、これまで対象としてきた塗料需要が95年度対比さらに縮少する可能性さえあり、98年度と比べても微増と予測している。副資材製造業に留まる限り需要の伸びに限界が訪れる。

◆拡大する色彩・保護・機能付与のニーズ

料需要の伸びが大きく期待出来ない理由は、塗料のもつ働き(機能)が不用になったり、代替資材にとって代られたからではない。むしろ21世紀の時代の潮流の一つである快適環境の創造や資源の長期保護等のニーズは確実に増加すると考えられ、塗料のもつ働き(機能)はグローバルに益々重要となってくる。したがって、副資材提供産業からの脱皮が求められている。

◆塗料のもつ働きを事業化する異業種の進出

多くの異業種企業が塗料のもつ働き(機能)に注目し、ビジネスチャンスをうかがっている。新しいソフトやエンジニアリングを組合わせたり、訪問販売等一般消費者へダイレクトにアプローチを行う等、従来の商慣行・流通の仕組みを超えた形での参入が既に行われており、今後も活発化することが予測される。また海外大手塗料メーカーの参入、新しい技術で脱塗装化を進める異業種の動きもあり、単なる改良技術をベースとした新商品開発では対応できない局面を迎えている。

◆広範な対応が求められる環境問題・技術開発

環境問題への対応も、単に塗料そのものやその製造に関しての責任のみではなく、塗料の働き全てに係わる総合的な配慮の下に取組まなければならない状況になりつつある。また技術面ではコーテイング・システムとしての開発が重要となってくる。

◆◇◆塗料工業が今後目指すべき方向◆◇◆

このような塗料工業を取り巻く環境の変化に対して、塗料工業は新しいパラダイムの構築が必要となってきている。
塗料工業は、副資材製造(提供)業から脱皮し、塗料の働き(機能)そのものを事業化する、総合的なコーテイング事業への転換が必要である。それは環境・安全・健康への配慮を基軸として、省資源・ストックの長寿命化、色彩文化を創出する市場創造型工業へと事業展開をはかると共に、一方ではハイテクノロジーを導入して高付加価値機能を付与するスペシャリテイケミカル工業に転換し、グローバルに需要を創造することである。また塗料の働き(機能)に対するニーズは、最終的には一般消費者から生まれるものであり、この視点から新しく自立した市場自己創出型工業を構築しなければならない。
◆◇◆塗料工業のビジョン◆◇◆
これらの背景から以下のビジョンを設定した。
「塗料工業は今後市場をグローバルに且つ一般消費者にまで拡大し、コーティング・ビジネスとして新市場を創出する。アメニティ、エコ・ハーモニー、スぺシャリティをキーワードに、ソフトやエンジニアリングの付加、ハイテクノロジーの導入を行い、快適環境の創出、環境問題の解決、高付加価値化に貢献する新しいコーティング工業として発展を図る」
ビジョンに示した事業の転換・拡大には、環境に配慮し、モノ(塗料)と併せてソフト(システム・サービス)が重要であり、これらを組込んだコーテイング工業として収益性のある事業活動を行うことが求められる。ビジョンに示されたコーテイング・ビジネスという新しく構築されたパラダイムへの転換・拡大により、塗料工業は1兆円を超す産業へと発展することも可能となる。
提示したビジョンは必ずしも目新しいものではないが、工業会としてビジョンを明示することによってその力がさらに統合され、業界に大きな変化をもたらすことを期待している。
◆◇◆ビジョンに向けた塗料工業の課題と解決策◆◇◆
塗料工業の課題を要約すれば、以下が抽出される。
  1. 収益性の改善
  2. 事業拡大・市場創造への対応
  3. 環境問題への対応
  4. 国際的競合時代への対応
  5. 基盤技術開発の強化
  6. デジタル化社会への対応
  7. 社会的認知度の向上
これらの課題については、既に対応が着手されているものもあり、それらを除いて、ビジョンを現実のものとするために工業会として取組むべき次の10項目の提言を行った。
構造改革に関する事項
提言 1:危機感の共有化と改革への企業努力目標ガイドラインの設定
提言 2:取引き慣行の改善ガイドラインの設定
提言 3:物流関連の合理化推進(EDI導入に伴う標準化等)
提言 4:塗料産業としての団体組織のありかたの再構築
需要拡大・市場創造に関する事項
提言 5:環境・省資源対応商品及びシステムの市場導入促進支援
提言 6:次世代カラーツールの研究開発及び色彩情報発信ツールの開発
提言 7:一般消費者へのマーケット戦略構築
提言 8:補修・改修市場向け業界標準塗装・塗膜品質・費用基準の設定
提言 9:補修・改修市場向け塗膜保証体制の確立及び塗膜診断士制度の創設
提言10:基礎研究機関の設置(産学共同研究からスタート)
これらの提言は、今後(社)日本塗料工業会の各委員会でそれぞれ検討が進められこととなる。
副資材提供型の業界内競合から業際間競合へ、また一般消費者とも密着した市場創出型工業へと転換することにより、21世紀の塗料工業が新世紀にふさわしい変身を遂げ、さらに大きく羽ばたくことは夢ではない。
目次
第1章 はじめに
第2章 塗料工業のわが国社会・産業に占める位置
第3章 わが国塗料工業の現状
第4章 わが国経済・産業構造の変化とその影響
第5章 競合関係の変化
第6章 わが国塗料需要の中期予測
第7章 21世紀に向かうべきと良好業の方向(中期ビジョン)
第8章 わが国塗料工業の課題
第9章 課題解決への提言
第10章 おわりに
添付資料

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